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道頓堀ものがたり(2003年博多座)

 2000年の大阪・東京公演、2002年11月の名古屋公演と各地で好評をえた舞台がいよいよ福岡・博多座へ。博多座は繁華街・中州に近い川端にありました。川端といえば… 川端ぜんざい。雄基さんも召し上がったでしょうか(笑) 2003年4月1日から25日までの全42回公演でした。午前の部はこの間、毎日行われるという。。。ハードなスケジュールではないですか?すっごいなぁ。。。


 名古屋・御園座公演に引き続く藤山寛美さん十三回忌追善公演です。名古屋公演と同じく、場内には寛美さんの写真が飾られてあったり舞台の幕が降りたあとに直美さんの口上があったりと明るく死者を偲ぶという素敵な追善公演でした。
「亡き父も頭を低くしてこの舞台のどこかに居ることだと思います」 そうお父さまを思う直美さんの口上が涙を誘いました。

 藤山直美さん演じるお徳の夫・尾野川菊之助を演じるのは御園座と同じく田村亮さん。これから分かるようにストーリは御園座とほとんど一緒でした。キャストはイソダンこと文次郎を演じるのが、御園座では淀川曠平さんでしたが、2000年の舞台でこの役を演じた小島慶四郎さんに戻ってました。小島秀哉さんとW小島の復活です。2000年の公演で文次郎の役どころは印象が強かったので、小島さんに戻って馴染み深いというか。。。ただ、ストーリ展開は御園座と同じなので文次郎が途中で故郷に帰ってしまう。これはちょっと残念でした。

 一箇所。第二幕の最終場で「盛綱陣屋」の稽古で首実験の舞台稽古をするところが、これまでと違っていました。
 幕がしまったまま花道がライトアップされて、首を持った役人が花道を歩いてくる。裃(かみしも)袴(はかま)姿の菊之助(田村さん)が神妙に首を検めます。田村さんの裃袴姿は暴れん坊将軍の大岡さまを連想してしまう(笑)
 前作まではこの場は多くの人が見守る稽古場でのシーンでしたが、今回は本番を感じさせる舞台。舞台の上で舞台が演じられるというちょっと不思議な感覚。結局、やはり稽古で 途中で幕があがり 稽古を見守る多くの関係者が現れるのですが、それまでは青白く浮かんだ生首がちょっと不気味でした。

 雄基さんの花道からの登場は前作と変わらず、2幕の中ごろ。大きな興行会社の社長となった雄基さん扮する蒼井松次郎が芝居茶屋・濱菊に挨拶にくるシーンです。まず、淡島千景さん演じる芝居茶屋・濱菊の女将に名刺を差し出します。なぜか、名刺をもった手を大きくまわして差し出す。なんか感じ悪いです(笑)
 興行の利益をあげるため昼の部は劇場を閉じ、幕間の短縮をも実行すると有無を言わせない感じで一方的に告げる松次郎。お徳たちの関西弁のなかで松次郎の話す東京弁が妙に押しが強く感じました。それを聞いた藤山直美さん演じるお徳は、芝居茶屋の死活に関わると啖呵をきる。芝居とともに生きてきた芝居茶屋を踏み潰すかのような提案に反発するお徳。今回もきっちりと啖呵をきります。
 これに対して、雄基さんが「あなたみたいな人がいるとは道頓堀も捨てたものではないのかな」と応えるのは前作と同じなのですが、「ないのかな」と強く言い切り、顎を突き出す(フンッって感じです)。これまた感じ悪い。
 さらに、一方的に話をして「失礼します」と手を胸の前で曲げ、礼をしますが なんだか小ばかにした感じで、またまた感じ悪い(笑)
この場では、雄基さんのセリフは御園座とあまり変わってないのですが、帝大を出てアメリカ帰りと洗練された嫌味っぽさがこれまで以上に強調されてました。関西弁のなか、嫌味すぎるほどの東京弁が強調されて聞こえて。いやぁ、すごい!見事な悪役ぶりで。。。
これも演技の幅を広められている結果でしょうね。

 これだけ嫌な役が強調されてましたので、三幕でのよい役柄への変身は違和感が残りそうですが、「(菊之助達と出あったことが)人生の分岐点だった。アメリカ流のプラスマイナスでは考えられない、情というものを知った」というセリフがあったため、三幕では影でコソコソといいことをする婿さん(笑)を爽やかに演じられていました。

 今回も笑い所、泣き所満載でした。最後の場で、お徳と菊乃助に置いていかれたあやめ改め熊太郎(綾田俊樹さん)が二人を追って花道をかけてきます。口にするセリフは「なんばしよっと」(何をしてくれるのか)と博多弁です。ご当地ならではですよね。他にも「置いていくなんて、うちのことすいとーぉ?」(好きなの)と、なぜか持っていた水筒を差し出しながら応えたりして。昔、「すいとーぉ?」ってフレーズを使うCMが流れてたなぁ…と思い出したり。
博多座での「道頓堀ものがたり」が楽しめました。

 御園座と同じく長江さんは藤山さんにお盆でおもいっきりたたかれてましたし、藤山さんから「にわとりみたいな頭して」とやはり雄基さんは言われてました。
 菊之助が白血病で余命・三ヶ月だと知ったお徳と、淡島千景さん演じる母親・菊乃のどうしょうもない困惑と悲しみ、菊之助が逝って残されたお徳の涙を流しながらも身ごもった子と強く生きていこうとする最終シーン。笑えて泣けて、本当に楽しめる舞台でした。
 今年の年末にはまた新たな舞台で藤山直美さんとの喜劇が拝見できるとか。これもきっと見逃せない舞台になることでしょう。楽しみですね♪

投稿者 sato : December 29, 2003 12:14 AM