雪國
川端康成の代表作「雪国」の舞台です。「花の情」「妻たちの鹿鳴館」に続いての若尾さんとの共演。3/6〜25日全32回公演 名古屋・名鉄ホールでの公演でした。
ストーンウェル公演の55回公演にもあたるということで、過去のストーンウェル公演がパンフレットで紹介されていて、2001年の「花の情」が第53回公演として1枚だけ写真が掲載されてました。
この「雪國」は平成7年に若尾さん主演で明治座で上演されたことがあるそうです。それに、若尾さんの初舞台が同じく昭和45年東京・芸術座での「雪国」(やはり駒子)だそうで、若尾さんにはお馴染みな演目です。雄基さんは、島村役。これまでも数々の二枚目俳優が演じてきたという役所ですから期待感は高まります。
公演時間は
一幕 55分/休憩 30分/二幕 60分/休憩 10分/三幕 45分 でした。
配役は駒子役の若尾文子さん、島村役の松村雄基さんの他に、おさげ髪が可愛らしい葉子を中田喜子さん、結核を患う行男を堀内正美さんが演じられました。島村が逗留する高橋旅館の女将は当初 大鹿次代さんが演じるはずでしたが体調不良のため小泉まち子さんに変わっていました。それに石坂浩二さんのナレーションが舞台を引き締めます。
雪国という原作に沿えば当然なのですが… 今回は若尾さん演じる駒子は、松村さん演じる島村より年下という設定(原作では19歳)。島村の言葉も当然のように年下のものに対する言葉でした。「花の情」「妻たちの鹿鳴館」と若尾さんを年上の人として愛する雄基さんを見てきただけに初めは違和感を感じました。しかし、それも最初だけで段々と駒子が無邪気な娘に見えてくるので不思議。
−−−第一幕−−−
高橋旅館 椿の間
昭和十二年、七夕前日の7月6日。越後湯沢の高橋旅館では笹につるした短冊が準備されていた。
そこに、浴衣姿で爽やかに雄基さん扮する島村が登場です。画家である島村が学生の頃 安くこの旅館に逗留したことがあり、女将・たきとは気心がしれた仲であった。島村が描いた椿の画は丁寧に表装され、この「椿の間」に飾られている。
大切な客のために女将は芸者ではないが、踊りの名取りであるため人気の高い駒子を酌の相手として選ぶ。
若々しい着物をきた若尾文子さん扮する駒子が部屋にやってくる。島村という名をきいただけで、掛けていた椿の絵の作者だと気付く駒子。落款(絵のサイン)まで見ているほど椿の絵を気に入っていた。
島村は中学のころに二親を亡くし、結婚はしたものの、妻の妹や義理の両親との同居でアトリエへ篭っていると身の上を話す。駒子も自分の身の上を話しだす。駒子も幼い頃に二親を亡くしていて、親戚に引き取られたが借金のために遊郭へ売られそうになったのを今の師匠が金を作って引き取ってくれた。だが、その師匠も病で倒れたため、駒子は妾となった。その旦那も亡くなったのだという。人のために生きている駒子に同情する島村。そんな島村を前に、「可愛そうだ、可愛そうだ えーん えーん」と泣きまねをして明るく振舞う駒子。
駒子のために座布団を用意してくれたり、無理に酒をすすめない島村に駒子は好印象をもった。駒子は島村に荒川区尾久を知っているかと聞き、東京の話をしてほしいとねだる。
そこに、駒子を探す酔っ払い客の邪魔がはいり、駒子は連れて行かれる。他の相手をという声を断り、なんとなく不機嫌になる島村。駒子が落とした櫛を拾い、手にとり見入り駒子を思い出す。
※この場では駒子との共通点を見つけた島村が「ご・縁・だ・ね」と首をかしげながら話すシーンがありました。これがなんだか可愛かった(笑)
ぎんの家
駒子が面倒を見る師匠・ぎんのところに 女将のたきがスイカを持ってやってくる。駒子にそこで受け取ったという葉書を渡した。ぎんには結核を患う息子・行男がいる。東京で療養中の行男を看病するのは、ぎんの姪で養女である葉子だ。葉書は葉子からで、療養に必要な金銭を送り続ける駒子に礼を述べてはいるものの、行男は回復しているから自分達のことは心配してくれるなという、夫婦気取りの内容である。(駒子が島村に聞いた住所は行男が住んでいた住所だった?)
ぎんは行男と駒子を夫婦にするために駒子を養女にしなかったのだ。行男もそのつもりだったのに、幼いと思っていた葉子を介護のため一緒に東京に行かせたら、葉子と行男がなさぬ仲になってしまった。自分たちのために妾にまでなってくれた駒子に義理がたたないと嘆くぎん。苦しむぎんを見て、たきは誰にだって辛いことはある。息子の病が良くなっただけでよしとしないとと励ます。やはり駒子が可愛いい たきは「駒ちゃんをうちの養女にもらっちまおう」とぎんをからかう。
病で満足に動かない手足を引きずりながらも必死で止め「やらね」と叫ぶぎん。二人とは血が繋がっていない駒子ではあったが、大切に思う気持ちは一緒だった。
高橋旅館 椿の間
高橋旅館に湯浴みにきた駒子は椿の間の島村を訪ねる。だが、島村は留守。笹につるした短冊に気付いた駒子は自分の短冊を笹からはずす。(行男のことを書いていたのかな?) そんな駒子を見ていた島村は駒子に短冊を見せてみろとからかう。若尾さんを追い回す雄基さん。
島村がスケッチにいっていたことを知った駒子は絵を見せて欲しいという。絵を見る駒子に島村は突然、芸者を世話してくれるように頼む(この場合は女を紹介してくれという意味だったようです)。島村の突然の依頼にびっくりした駒子。「そんな人だとは思わなかった」といいながら部屋を出て行き、体格のいい「とんぼ」という芸者を世話する。
とんぼが枕を持ってやってくる。湯浴みのあとなのでアッパッパの姿。色気もなにもありませんヽ( ̄▼ ̄*)ノ
もういいからととんぼを追い返そうとする島村だが、とんぼはなんだかノリノリです(笑)。「私はアンマもうまいのよっ」と島村を掴んでうつぶせにして乗っかる。上から押さえつけるとんぼ。笑いながら逃げてました雄基さん。
クタクタになりながらもとんぼから逃げようとする島村だが、脇をくすぐられたり、後ろから腕をつかまれ体操するようにもてあそばれる。なんだか消耗してます。おもわず窓から逃げようとしてみたり。。。
「明るいうちからだと気分がでないわねぇ」と障子を閉めるとんぼ。「なんの気分だ」と障子を開ける島村。どたばたが続きます。ふとんまでひかれてピンチな島村は郵便局に用があったのだと逃げ出そうとする。それでも引き戻そうとするとんぼ。柱につかまって頑張る島村。島村がもっていた上着を挟んで引っ張りあいになると、「もういい」と上着を手放して島村は逃げだしてしまう。
それを見ていた駒子に「島村さんは駒子が好きだから意地悪をするの」と言う女将。
その日の夜、寝ようと電気を消した島村のところに酔った駒子がやってくる。「顔が見えないよぉ」という駒子に電気を点けて顔を見せてやる島村。酔って気分が悪いという駒子だが、帰るといったり、ここで休むといったり相手にならない。さらに、屋根の上にでていき月が綺麗だと喜ぶ。島村にお盆と酒をもってこさせ、お盆についだ酒に映る月を二人で一緒に飲もうという。飲み干したらいいことがあるのだと。雄基さんはかなり苦労して飲んでました(笑)だが、飲み干したあとも「いいことがあるのは男だけだ」と悲しむ駒子。部屋に戻っても島村を「あんたは寝なさい」と寝室に押し込むが「起きてぇ 起きてぇ」と起こしてみたり。なんだか可愛い。
そんな駒子に迫る島村。逃げる駒子だが結局は島村の胸に飛び込むのであった。
−−−第二幕−−−
高橋旅館 椿の間
「国境を抜けると雪国であった」という石坂浩二さんのナレーション。
12月10日。島村は高橋旅館に戻ってきた。紺の着物に薄い半纏。紺の着物っていいですよねぇ〜 うっとり。
島村と同じ列車に行男と葉子が乗って戻ってきた。行男は高橋旅館に湯浴みにきたついでに、ベランダから変わらない故郷の景色を楽しんでいた。それを見かけた島村が女将に列車での葉子の熱心な看病ぶりを話す。
椿の間を駒子が訪ねてくる。駒子は夏、島村と別れたあと芸者になっていた。艶やかな装いの駒子。島村にあの七夕の日から156日目だという、日記をつけながら島村が来るのを指折り数えて待っていたのだ。
島村はお土産にと、自分で作った椿の形の七宝焼きの帯止めを渡す。自分のことを思っていてくれたことに感謝する駒子。島村も日記を書いて自分を待っていた駒子を愛しく思った。
ぎんの家
ぎんの家に戻った葉子と行男。駒子は旅館の女中・澄子に行男の滋養のため牛乳をたのんでいた。たが、葉子は自分のほうが行男に近いのだからと焼きもちをやく。そんな葉子をたしなめるぎん。葉子はなぜ自分が悪い?なぜ自分が責められるのだ?とぎんに責めよる。
朝帰りの駒子が帰ってくる。「泊まってまで稼いでくれるんだね」という葉子に、「私にだっていい人がいるんだ」と駒子。そんな駒子にこれからは私が家のことをやるからと明るくいい放つ葉子。下手にでてるのになんだか感じ悪いです
特高警察が行男を訪ねてきた。それを見た行男は自分が持っていた思想本を焼き捨てようとする。働いて楽をさせようと、旦那までとった駒子に申し訳なく社会を変えるしかないと運動に参加したという。それを聞いて「駒ちゃんには力があるんだ」と焼きもちをやく葉子。嘆くぎん。
そんな3人とはよそに外にでて晴れ晴れする空気を吸ったらどうだと一人明るく振舞う駒子であるが、三人は暗く塞ぐだけだった。
高橋旅館入り口
高橋旅館の女将のもとに、息子から手紙が届いた。上海で日本料理の店を出すから手伝って欲しいという。旅館がなくなると困ると心配する芸者達に向かって、歴史ある旅館をつぶすこなどできないという女将だが、なぜか表情は暗い。
芸者たちは駒子と島村の噂をはじめる。そこに島村が現れ、さらに芸者達は盛り上がる。外に出た島村のところに駒子がやってきて、散歩に行くという島村を駒子が自分の家に誘った。
駒子の部屋
家の前で葉子に会うが葉子は毎回、島村を無視します(笑)
駒子の部屋には炬燵と鏡台に小さの文机。駒子が「いらっしゃいませ」というと「おじゃまします」と正座して返すのは雄基さんっぽくって素敵です。
駒子は自分の日記を島村に見せる。表紙には椿。「椿だね?」と島村が聞くと「絵は描けないから、椿油のラベルを貼ったの」と駒子。「ラベルを?」と笑う島村。よくお見かけする雄基さんの特徴ある笑い方でした。(一度、呆れた感じで声も出ないという表情をして、笑うのです。特徴ある笑いだと思うのですが… いかがでしょう?)中を見てもいいかという島村に、数字しか書いてないからつまらないという駒子。心のなかのことは書かないことにしたのだという。
お茶を運んできた葉子。汽車での葉子と行男の話をはじめる島村。葉子の暗い目に突然あかりがともったのだという。窓越しに見る葉子の目に外の灯りが重なったのだろうと。。。印象深く熱心に話す島村。嫉妬する駒子に、葉子は妹だろうという島村。「葉子は敵」だと意味深な返事をする駒子。
医者が行男をたずねてきたと葉子が駒子を呼ぶ。島村は葉子の部屋から帰っていく。島村を見送るという駒子に葉子は「男をつれてきて行男の気をひこうとするなんてひどい!」と怒る。「べつの暮らしがあるんだ、別の気持ちがあるんだ」とやりきれない感の駒子。駒子が去ったあと、行男の気持ちがまだ駒子に残っていることに勘付いている葉子は悔し涙を流す。
高橋旅館入り口
駒子の客が酔って駒子を訪ねてきていた。駒子を妻にすると言って、「駒子も同意したのに駒子は呼んでもやってこない、椿の間に結核にかかった許婚をかくまっているんだろう。なぐってやる」と酒の席の戯言を本気にして暴れる。駒子の姉・芸者達が客をうまくあしらって外につれていく。
騒動を聴いていた島村。外に出て雪が降るなか駒子を待つ。和傘をさした駒子がやってきて島村をそっと傘にいれる。身長差が大きいので、若尾さんきつそう。振り向いて、自然に和傘を受け取る島村。この辺の動作が素敵でした。
すれちがった番頭に騒動を聞いた駒子。島村は駒子に「兄さんは許婚なんだって?」と尋ねる。優しい兄さんなので仲はいいが、そんな仲ではないと否定する駒子。「椿の間に許婚がいるなんて間違いでも嬉しいことをいってくれるわぁ」という駒子に「僕ならなにもしてあげられないねぇ」と自然に口にする島村。この辺は浮気男の無責任さがでてますね。駒子は来年2月の虫追い祭には来て欲しいと強請る。その日のために帯留めにあわせた着物を作るとはしゃぐ。
突然、電報が島村に届く。友人に召集礼状が届き、明くる朝 戦地に発つという。まだ最終の汽車に間に合うと話している2人のもとに葉子がかけつけてくる。「行男さんの様子が危ないの。駒ちゃんの名前を読んでいるの。早く戻ってあげて」と懇願する葉子。「あたし、戻れないわ。この人を見送らないといけないもの」と拒む駒子は「あんた行男さんのことを考えてあたしを呼びにきたの? それは間違いよ。あんたがそばにいないと」と葉子を帰す。
見送りなんていい、病人が呼んでいるんだ後悔するよ という島村だが、駒子は聞く耳をもたない。
「見送りなんて気が重いでしょ。他のお座敷にでも行くわ」と旅館をあとにする駒子。「きみ」と声をかける島村だが振り返りもせずに駒子は出て行く。
外に出て、泣き崩れる駒子から とても複雑な思いが伝わってきました。
−−−第三幕−−−
巻機の山里
2月14日。虫追い祭の日に島村は戻ってきていた。黒のタートルセータにグレーのコート姿です。写生に山にきた島村を駒子が捜しにやってくる。モンペ姿の若尾さん。手には二本の寒椿を持っています。「一輪は椿の間に飾り、一輪は尼寺に」と話す駒子。亡くなった行男の墓は尼寺にあるのだ。行男の母・ぎんもあとを追うように亡くなっていた。
寺に行ってみようと誘う島村。だが、駒子は一度も墓参りをしていないという。「もう、けりをつけたいの。生きている人に潔くすることは難しいけど、せめて死んだ人には潔くしておきたいの」という駒子。潔く花を落とす椿が好きだといった駒子らしい。
この場では2人の恋人っぽいやりとりが見られました。ちょっと複雑?(笑)
例えば…
頬が赤いと島村が言うと、血行が良いらしい駒子が
駒子「寝床に入っても足がぽっぽしてくるの」
島村「知ってるよ」
とからかうシーンがあったり。
笛の音がきれいに響く寒さだと話す2人。駒子が持っていた笛を出すと
島村「見せて?篠笛だね」
駒子「お分かりになるの?」
島村「笛は好きだ。特に篠笛はね」
すぐに篠笛だとわかった島村に駒子は今夜行くからと笛をあずける。
島村「吹いてくれるの?」
駒子「篠笛だとすぐにわかって、篠笛が好きだと… もう、そういうこというんだもの」
島村「怒られることないだろう」
駒子「困りますもの。ますます好きになっちゃう」
島村「ぼくはもう既に困っているよ」
島村「もう行きずりの旅人じゃないつもりだ」
という会話がやりとりされていました。ふぅ
さらに、山から戻ろうと足元をふらつかせる駒子を見た島村は、かがんで駒子に背をむける。さぁと自分の肩をたたく。おぶってくださるのと喜ぶ駒子。だが、島村のほうが雪になれていないので足元は頼りない。
駒子「雪を歩くのはあんたのほうが下手よ」
島村「ころがるときは一緒に転ぼうよ。」
駒子「わぁ、一緒に… ころがりたぃ」
駒子「ねぇ、ちょっと ころんでみて」
と、島村の背中ではしゃぐ
島村「おとなしくしてなさい。」
と、たしなめるところも素敵。さらに…
駒子「温かい背中」
島村「君の胸、温かいなぁ」
と、客席で聞いていてちょっと恥ずかしくなるセリフが続きました。
なんだか、これまでの優等生チックな役柄とはちょっと違った雄基さんではないですか?
高橋旅館 椿の間
旅館に夜遅くもどってきた島村。駒子が産まれた里にいっていたという。二人の仲をからかう女将。女将と話すうちに島村は駒子の家の家主が戻ってくるため、駒子が立ち退きをせまられていることを知る。葉子と一緒の駒子はなかなか移る先がみつからないでいた。女将も旅館をたたんで息子のいる上海に行くという。駒子を心配する女将。
葉子が島村のもとに駒子から頼まれたと手紙をもってきた。葉子は行男を亡くしてから気が変になっていた。女将は葉子に島村の酒の酌をするようにいう。明日の虫追い祭のために駒子が頼んでいた着物もとりにいってくるように頼む。絹を贅沢に使い、椿の模様を散りばめ、椿の帯止めに合うように作った着物だから、駒子を早く喜ばせてあげなという女将。
酌の相手を満足にできない葉子は着物をとりに部屋を出て行こうとする。だが、島村にお願いがあると戻ってきた。
「駒ちゃんを大事にしてあげてください。駒ちゃんは可愛そうなんです」という葉子。「ぼくには何もしてあげられないよ」と島村。(おいおぉい、まだ そんなことを…)
駒子のことを頼みながら、自分を東京に連れていってくれという葉子。ここにいても望みがないのだと話す。「駒ちゃんが憎い。行男さんが最後に名を呼んだのは駒ちゃんだ。でも、自分は行男さんの妻になったんだ」と複雑な気持ちを吐露する葉子。そんな風に考えると駒子も葉子も報われないと話す島村だが、葉子は涙をながしながら部屋をでていく。
それを見た駒子は弔いの場でも涙を見せなかった葉子を島村が泣かしたのかと責める。「駒ちゃんをお願いしますと頼まれたよ。自分を東京に連れていって欲しいといってた。駒ちゃんの荷物になりたくないんじゃないかな」と葉子を庇う島村に怒る葉子だが、ついには 東京に行けば葉子は助かるかもしれない、あの子を連れて行ってくれないかと言い出す。二人は思い合っているんだよと話す島村。
島村は迷った末、駒子に東京にこないかと誘う。名取りなのだから踊りの教師ができる。友達の踊りの学校をやってる人がいるから頼んでみようと。そこまで自分のことを考えてくれる島村に喜ぶ駒子。駒子は「東京にあこがれていた。東京の匂いのするあんたに一目ぼれをした」と告白する。
笛を吹いてくれと頼む島村。音が響くからと窓を開けた駒子のもとに火鉢を近づける島村。二人の目があう。静かに笛の音が響きます。
笛を吹く駒子のもとに女将がかけ走ってくる。葉子が着物をとりにいった場所に雪崩が起こった。いやな予感がすると…
葉子は雪崩にのまれて谷底に落ちた。あとには駒子の着物が残っていた…
巻機の山里
島村と葉子の思い出となった、着物をきて雪のなか一人たたずむ駒子。雪のお堂のなかに灯された火で過去を洗い流すように日記を焼く駒子。駒子は葉子・行男の墓を守って一人生きていくことを決意していた。雪の降るなか囁く。「さようなら」
「不倫」ということに私が鈍いのでしょう(笑)正直なところ、最後はいまいち気持ちが入っていけませんでした。周りの方は泣かれていた方もいらっしゃいました。ただ、最後の駒子の場面。雪が降るなか 島村を諦めて、一人生きていこうと決意した駒子のセリフ「さようなら」。これを聞いたときは、何故か泣けました。涙がでました。最後の場では石坂浩二さんのナレーションと若尾さんのナレーションだけで生のセリフはこの「さようなら」だけなんですよね。でも、決まっている。やはり、凄いなぁと思った次第です。
最初は若尾さん演じる駒子に違和感があったのですが、若いのに人生を悟りきった駒子の雰囲気は若尾さんならではの説得力だったなぁと今になって思います。若い女優さんだと、ここまで駒子の強さは表現できなかったのではないかなぁと。。。
雄基さんはご本人の気質からでしょうか、浮気してるというのになんだか責められない(贔屓目?) でも、さすがに「僕は何もできないよ」と爽やかに言われると、ちょっとズルイなぁと思わされました。なんだか、ナチュラルに浮気できそうに思えて…ファンとしてはちょっと嫌かも(笑)そう思わせられる雄基さんの演技力が凄いということですよね。あくまで演技ですよね。地ではないですよね、ねっねっ(←ちょっと不安)
原作でのラストシーンは「火事」なんですよね。雪のなかに映える赤。その天の川。景色の描写が綺麗です。この景色も舞台で拝見したかったなぁ。舞台を見る前はどんな風に舞台化されるのかちょっと心配でしたが、素敵な舞台でした。実は原作を読んでもイマイチ面白くなかったのですが(国語力弱いです)、「雪国」というお話しがとても面白く思えてきました。是非、また再演していただきたい舞台ですね。