2007/01/02〜01/27 中日劇場「あかね空」
原作:山本一力
脚本:池田政之
演出:江守 徹
役名:傳蔵
出演:十朱幸代、赤井英和、淡島千景、菅野菜保之、松山政路、長谷川哲夫
どれだけ遠くても行かないという選択はもうないのかも?と悟った(今更?)
久しぶりの名古屋公演
原作を読んでいたためチラシを見て。。。この衣装。もしかして出番少ない?
そんな予感があたって。
さすがに3幕だけしか出演がないと聞いて、自分でも呆れましたが
チケット届いてますし。とーっても良い席ですし。名古屋久しぶりですし。。と旅行気分でGoGo名古屋♪
中日劇場は栄の中心にある中日ビルのなかにある劇場です。
![]() | 劇場前から見えるテレビ塔 |
ひさしぶりに初めて訪れる劇場。結構、古い劇場でした。横に広く、花道はないのですけど 左右の舞台裾が客席最前列より後ろで広く使われていました。赤井さんは客席を通ってのご登場でしたね。
舞台は十朱幸代さん演じるおふみが19歳、赤井英和さん演じる永吉が25歳からはじまります。
京都の豆腐屋で修行した永吉が江戸に出てきて、おふみ一家の住む長屋で「京や」と暖簾をさげて商売をはじめる。
(この辺りの赤井さんの説明が…棒読みっぽくって、ちょっと残念でしたΣ(|||▽||| )
しかし、永吉が作る豆腐は江戸ではなじみのない柔らかい豆腐(絹ごし豆腐なのでしょうかね)
1日の疲れをとるための晩酌のおつまみとして豆腐を好む江戸の下町の人々にはこんな柔らかい豆腐と受け入れられない。
永吉の住む長屋の人々も豆腐屋をはじめるという永吉のために店を開く準備を手伝う、とても暖かい優しい住人ですが、豆腐を買うことだけはできません。そこは譲れないのですね。
行方不明となった自分達の息子を永吉に重ねて、ひっそりと永吉を応援する豆腐屋・相州屋の夫婦。
その相州屋夫婦の支え、おふみ、おふみの両親の支え。長屋の住人の支え。たくさんの人に支えられ、永吉の真面目な豆腐が少しずつ受け入れられる。商売が軌道に乗って夫婦になる永吉とおふみ。
商売もさらに栄え、栄太郎という息子もでき幸せの絶頂の頃
栄太郎が酷い火傷を負う。栄太郎の回復を願うおふみは栄太郎を大事にするから命は助けてくれと八幡様に願う。その想いが届いたのか、助かる栄太郎。それ以降、栄太郎を過保護なまでに可愛がるおふみ。
さらに悟郎という息子を授かる。それと引き換えるように父親の死。
そして、女の子・おきみを産んで、迎える母の死。
二人の子供をほって、栄太郎を甘やかすおふみ。栄太郎も甘やかされた子供として育っていきます。
そして、歪。
真面目に父親の豆腐作りを手伝う悟郎とおきみを横目に栄太郎は博打へ。
20年前に店を畳んだ「相州屋」
良い水が欠かせない豆腐作りのために最高の井戸があるその土地を同じ豆腐屋の「平田屋」も狙っていた。だが、夫を亡くした相州屋の女将・おしのは友人でもある料亭江戸屋の女将・秀弥(淡島千景さん)に店の売り渡し証文を託していた。息子が戻ってこなければ、20年後に「京や」に譲ってほしいと。当時、おふみが身ごもったことを知っていたおしのは、未来に繋いでほしいと願う。
その「相州屋」を譲ってもらうため永吉は真面目に働いて溜めた金を使おうとした。
だが、その金の一部を栄太郎が博打で作った借金を返すため、おふみが使っていた。
栄太郎の仕出かしたことを知り、息子を追い出す永吉。そして、永吉は倒れる。
そんなことを知らずに、栄太郎は平田屋に連れられて賭場に来ていた。
遊ぶ金がないという栄太郎に平田屋は栄太郎のために作ったという印行(判子)を渡し、金を借りるようにそそのかす。
そんなやりとりを見ていたのか、賭場にいた一人の男が声をかける
「ちょいと待ちな」
ゆっくりと振り向いたのは雄基さん演じる傳蔵です。
「そのまま、そのまま。皆さん、ごゆるりとお遊びください」
ドスの聞いた、ゆっくりと迫力ある台詞。舞台に重厚感が加わりました。空気を作れる力が凄いですよね。
3幕2場の最初には上手の平田屋と栄太郎の遣り取りにスポットライトがあたっていて、暗転している中央に賭場。雄基さんは二人の遣り取りが終わるまで客席に背中を向けて座ってらっしゃいますが、特徴ある髪型!後ろ姿で「もしかして?」と暗くても目が離せません。
振り返るまで、ゆっくり時間が流れました。もちろん振り向いたところで大きな拍手が起こってました♪
栄太郎に永吉が亡くなったことを告げる傳蔵。慌てて賭場を出る栄太郎。
残された平田屋は永吉が亡くなったことを聞いてほくそえむ
「おめぇ、よっぽど京やが嫌いらしいな」
そう聞かれて、相州屋を巡る京やとの諍いを話し出す平田屋。
20年前の自分の知らない相州屋の話を聞く傳蔵。
京やを潰すため傳蔵に力を貸して欲しいと頼む平田屋
「相州屋…」 つぶやく傳蔵
京やは相州屋の地に引っ越して、永吉の葬儀を終えようとしていた。
傳蔵が手をあわせたいと訪ねてくる。店のなかに入り、何かを感じとる傳蔵。
その場にいた秀弥に
「お顔を貸してはいただけないでしょうか。お聞きしたいことが」と声をかける
「何でしょう?」
「ここが相州屋という名の豆腐やだったと聞いて、昔の話を。それと、どうして京やさんにここを譲られたのかを」
何か深い意味のありそうな傳蔵
怪しい傳蔵などと付き合いのある栄太郎を、父が亡くなったのは兄のせいだとおきみは責める。
だが、どんなことがあっても跡取りは栄太郎だと譲らないおふみ。栄太郎にも呵責があったのでしょうね。過保護に自分を庇う母から逃げるように家を出ていく栄太郎。残されたおふみが哀しいです。
1年後。
悟郎はおすみという嫁をもらって京やを継いでいた。
お腹の大きなおすみに、おすみの産む孫など見たくない、京やの跡取りは栄太郎の子だと変わらず辛くあたるおふみ。
病を押して、木場にいる栄太郎に会いにいく。少し逞しくなった栄太郎は母を労わる態度を見せる。自分から京やは悟郎に継いでもらおうと口にする。大人になった栄太郎。
安心したように、そして寂しそうに栄太郎と分かれるおふみ。「お前を産んでよかったよ」
どんな苦悩を抱えていても思う母の心理なのでしょうね
おふみも亡くなって、いよいよ京やを平田屋が乗っ取ろうとしていた。
昔、栄太郎に渡した印行で押した紙を使って借用書を偽造した平田屋。
一緒に睨みを効かせてくれと頼まれた傳蔵は報酬を約束した紙に平田屋の判を押させる。
翌晩の約束をして分かれる二人。
「てめえ一人、良い思いはさせねぇ」 そう呟いて紙を剥がして二枚にする傳蔵
「傳蔵勝負の幕が開かぁなぁ」
歌舞伎を見ているようでした。「かっこいーぃ」思わず呟いてしまいました。
おふみの葬儀の晩。兄弟も和解して揃ったところに話したいことがあると秀弥がやってくる。
秀弥が話し出す前に、平田屋がやってきて、期日までに金を返せない場合は 京やの一切合財を受け渡すという証文を見せる。
騙されたと弟妹に説明する栄太郎。兄を信じるようになった悟郎とおきみ。
だが、栄太郎が騙されたことには変わりはない。追い出されて、場所を変えても京やの豆腐がなくなるわけではないと団結する兄弟。
秀弥が大金を出して証文を買おうと申し出るが相州屋の井戸が目当ての平田屋は譲るものではない。
高笑いする平田屋
「よーくやった。上出来な一幕だったぜぇ。二幕目もとっとと済ますとしようか」
ゆっくりと立ち上がり、昨夜の証文を取り出す傳蔵
「これに見覚えがあるな」
「上手くいったら200両をお支払いしますと。。。」
「にひゃくりょぉ?」 ゆっくりとわざとらしく脅かす傳蔵
「寝ぼけてもらっちゃ困るな。ここには平田屋の一切合財、傳蔵にやると書いてある。よく見ねぇ」
もちろん印行も押してある証文です。
逆上して殴りかかってくる平田屋を倒した傳蔵。手下に
「こいつをどこかその辺の風邪でもひきそうなところに放っておきな」
あはは。優しいのか、優しくないのか。。。
これで平田屋・相州屋・京やも傳蔵のものになったわけです。
息を呑んで傳蔵を見つめる兄弟。その目の前で、証文を破る傳蔵。
この証文を振り返らず後ろに投げて、手下として立っている方がキャッチしていました(笑)
「世の中には色々な人間がいる。俺のような悪党だっている。そんなとき頼りになるのが身内だ。家族がひとつになって事にあたる。これが一番なんだぜ」
「よく助けてくださいました」と頭を下げる秀弥に
「相州屋はまっとうな豆腐屋に引き継いでもらいてぇ。それだけのことです」
傳蔵が行方不明だった相州屋の息子だったのですね。
傳蔵が京やの味方か敵か、ハラハラするところだったのでしょうけど、結局 最後は良い人な役の多い雄基さん。ファンには通じないかもしれませんね。
そのあとも、
「一献さしあげたいので家に寄ってください」と言う秀弥に
「あっしのようなものが江戸屋さんに出入りしちゃ」
「色々とお話したいことがあるのです。昔のこと。相州屋の清兵衛さんと、おしのさんのこと」
「では裏口からお伺いいたします」
と淡島さんと雄基さんの遣り取りが続き、最後まで渋い傳蔵でした。
そして、秀弥が亡くなったおふみについて話し出す。
永吉とおふみのこと。栄太郎が負った火傷のときに、助けてくれれば大事にする、他には子供は望まないと願ったこと。悟郎の産まれたときに父を、おきみのときに母を亡くした、おふみは罰があたったと栄太郎を可愛がるようになったと。
秀弥の前で悟郎とおきみに申し訳ないとおふみが泣いたこと。子供が可愛いくない親などいるはずないのだと。
おふみは、悟郎の子のために自分の浴衣を潰しておしめも用意していた。孫を楽しみにしていたおふみ。
母を許して、兄を許してやっと家族がひとつになれた。そんなラストでした。
途中、おふみが八幡様に祈るところ、相州屋の思いがサラリと流されていたので、良いの?と思っていたのですが、ラストに淡島さん演じる秀弥が全てを語る。謎解きがラストにあったのですね〜
原作 読まないほうが、楽しめたかもと思った舞台でした。
十朱さんは19歳から40歳過ぎまでを演じられてました。凄いですね。
平田屋を演じられた松山さん。おふみの父親役を演じられた長谷川さん。相州屋のおしのを演じられた高橋さん。長屋の住人の千草さん、青柳さん。脇を固める俳優陣が1幕を引き締めて。
3幕は雄基さんと淡島さんが締めてという舞台でした。
雄基さんと淡島さんのやりとり、淡島さんの語り。舞台に厚みがでて、とってもよかったですー。
それにしても雄基さんのべらんめぇ調。言葉を大切にする新派公演参加で鍛えられたのか、とっても綺麗でした。
観劇後はお豆腐を食べたくなりました♪
名古屋で「瓦そば」いただきました。かずえさんとの旅行番組「旅っきり」で雄基さんも召し上がっていた瓦そば。
かずえさんは微妙なリアクションで、雄基さんは美味しいと仰っていたので、本当はどちらなのかなぁと思ってまして…
