Top>>  [舞台] Report >>女たちの忠臣蔵

女たちの忠臣蔵

2006/9/1(金)〜9/27(水) 明治座9月公演「女たちの忠臣蔵


  作:橋田壽賀子
劇化:田井洋子
演出:石井ふく子

役名:磯貝十郎左衛門

出演:池内淳子、宇津井健、京マチ子、植草克秀、橋爪淳
    熊谷真実、涼風真世、江原真二郎、えなりかずき
    小島秀哉、冨田恵子、大鹿次代、東新良和、藤田朋子

公演時間:一幕100分+休憩35分+二幕95分(計3時間50分)

「主君の仇討ちのため、討ち入りの準備を進める浪士たち。

女たちは彼らの本願成就を祈りながら
愛する者を失う悲しみにじっと耐えていた。

大義の名の下に苦しむのはいつの世も・女たちばかり
死ぬことよりも生き存えることの方が辛い。
そんな運命を告げる一夜が始まろうとしていた。」(ちらしより)

第一幕
元禄15年12月13日 討ち入りの前日ですね。
いよいよ吉良邸への討ち入りの日が決まって深川の料理茶屋に赤穂浪士が集まる。
動きを察した吉良家の密使がつけてくる。敵を追って雄基さん演じる磯貝様登場♪
ステージ上にも雪が積もってますから殺陣のシーンでは雄基さんが蹴飛ばした雪が客席に舞います。
ここでは短い登場。豪華キャストですからね〜

池内さん演じるりくは茶屋の女中に扮して。宇津井さん演じられる夫・大石内蔵助と息子・主税にひと目会いたいと願うあまりなのでしょうね。
女中に扮する妻に驚きながらも誰が見ているか分からないなか、りくに害が及ぶことを思って、直接接することのできない内蔵助。あくまでも女中として、「りくという女を知っているか」と尋ね、「生きてくれ、と りくに伝えてくれ」気持ちを静に隠し、別れを告げる夫婦。
そして、母と子。まだ幼い主税は母親に会いたくてたまらなかったという感じ。
幼い息子が大人たちに交じって遅れをとっていないかと心配していたという母に、母への甘えを押し殺し、討ち入りへの思いを語る主税。母も哀しみを押し殺しながら、励ます。死ぬと分かっていて、背中を押す。。。辛いですよね。もう、一幕一場から涙です。

磯貝十郎左衛門は吉良邸の絵図画を手に入れるために名前を変え町人に紛れ、
大工・平助と娘・しのに近づいていた。
ひさしぶりに鼓の稽古にやってきたという十郎左衛門に娘をどう思っているか平助が尋ねる。
十郎左衛門も りくに気持ちがあることを知って喜ぶ平助としの。
さっそく結婚と急かす平助(江戸っ子だから気が短いらしいです♪)
だが、自分にはもったいないと、なにかと逃げ腰の十郎左衛門。
先のない人間、無責任なことは言わないというのがせいいっぱいの誠意なのでしょうね。
十郎左衛門はしばらく会えなくなるからと鼓を しのに預かって欲しいと差し出す。
十郎左衛門が町人でないことに勘付きながらも、戻ってくることを信じて鼓を預かるしの。
吉良家の追手が入ってきて、結局 平助としのは十郎左衛門が赤穂浪士だと知る。
平助は微かに気付いてたようです。「優しくていい男よ。だからお前の婿にもらって一生平穏に過ごしてもらいたいと思った」小島秀哉さん演じる平助の暖かさが悲しいです。
吉良邸の絵図を手に入れるために利用されたと、自分に言い聞かすように嘆くしの。
平助としのの抱き合うシーンも涙です。

浅野内匠頭の妻・瑤泉院に別れを告げにきた大石内蔵助。
京マチ子さん、とても80歳過ぎには見えません。
瑤泉院は赤穂浪士が吉良邸に討ち入ると噂を聞き、内蔵助に詰め寄る。浪士達はバラバラになり、自分も里に帰ると嘘をつく内蔵助。残されるもののことを考え、復讐など辞めるように説く瑤泉院。そんな思いはないとただただ嘘をつく内蔵助。真っ直ぐな内蔵助が唯一ついた嘘でした。

大石瀬左衛門には盲目の姉・つねがいた。仲良く暮らしてきた二人っきりの姉弟、姉を残していくことに気持ちが残る。そんな瀬左衛門を後押しするように自分のことは心配いらないから本懐をと、叱るように、弟の背中を押す つね。涼風真世さんが凛とした女性を演じられてました。

間十次郎は岡場所に足を運ぶ。妻・りえが女郎に身を落としていた。夫だけではなく、その父・弟までを養うために身を犠牲にしたりえ。ただ、りえだけは決起の日が決まったと聞き十次郎を引き止める。一緒に生きていけなくても、ただどこかで生きてさえいてくれればいいと。。。正直なところかもしれませんね。

さまざまな気持ちを抱えた女性達。そして夜が明けます。。。
1幕の最後では男達を思う女性達が勢ぞろいするのですが、このシーンは迫力でした。
このときに池内さんは水をかぶって祈るのですが、本物の水が舞台上で使われていてびっくり。


第二幕
吉良の首を討ち取った浪士達が泉岳寺に向かう途中、永代橋を渡ります。
騒ぐ町人に交じってりくの姿。
花道を駆けてくる、しのと平助。平助はふんどし姿で朝風呂の途中という感じでしょうかヾ(^▽^*
平助の前に進みでる十郎左衛門。利用されたと怒るしのですが、平助には分かっていたのでしょうね。
「もし、もし、こんなことがなければ、しのの婿になってくれましたか」と問う平助に、
「なりました」と頷く十郎左衛門。
はじめは絵図面欲しさに近づいたが、気持ちはいつしか本物になったと。
気持ちは通じ合ったものの、直ぐに別れなければならない二人。
小さな声で「達者に」と囁く雄基さんから目が離せませんでした。

岡場所にいる、りえにも騒ぎは伝わっていた。一番槍をつけたのが夫の間十次郎だと聞き、
ひと目会いたいと願うが、外に出してもらえるはずもない。
雪の積もる屋根から逃げてみるが直ぐに捕まり、見せしめと痛めつけられる。
自分の運命を知ったのか、もう直ぐ消えてしまうだろう夫を思ってか、突きつけられた
刀を手のひらで掴み自らの命を断つりえ。壮絶なシーンでした。

討ち入りを終え 主君浅野内匠頭の眠る泉岳寺の墓前に吉良の首を供えたあと、
毛利家・松平家・水野家・細川家の四大名に、身柄を預けられていた浪士たちに、切腹の命が下る。
細川越中守を演じられたのが江原真二郎さん。これだけの出演なのがもったいない!
切腹を命じられたものの、吉良家もお家断絶とやっと公平な裁きが降りたと潔く覚悟を決めた
浪士たちに、鼓の音が届く。
十郎左衛門はしのだと気付く。もう会うことはできない二人。
せめてと鼓を打ち合うことを薦める内蔵助。

屋敷の外と中、姿が見えなくても言葉が通じなくても、二人の最後の別れです。
最初は探るように打たれていた鼓。雪が降りしきるなか、徐々に二人の鼓が重なっていきます。
雪が凄く、雄基さんにスポットライトがあたって暗転していく瞬間はスローモーションに見えて
綺麗で哀しいシーン。3度も拍手が起こり、迫力のシーンでした。


瀬左衛門の姉・つねにも りくから浪士達が命を断ったことが告げられる。
りくの故郷に一緒に帰ろうと誘われ、冷静に弟の死を受け止めたように見えたつね。
だが、りくが帰ったあとに泣き叫び、弟が愛用していたという筆で屏風に
瀬左衛門と叫びながら、その名を書きなぐる。これにも圧倒。
でも、まさか明治座で墨の香に包まれることがあるとは思ってもみませんでした。
そして、瀬左衛門のために用意した白装束を身につけ、やはり自ら命を断つ。

残されたりく。
愛する人の眠る地を去りたくないという気持ちは同じながらも、残された3人の
子供のために一歩一歩苦しみながら江戸を去るのだと。
「大義に殉じる者は良い。後に残される者は手を温めてくれるものもなく
一生耐えて行かねばならぬ…」夫・内蔵助の残した言葉が辛いです。
それでも、「気持ちが軽くなったような気がする」と「一人になったからか」と問われると
「これからは自分で決めた道を歩いていける」と。。。
悲しみのなか僅かに見えた希望のような気がしました。

とにかく雪が圧巻。客席3列まで吹雪いて、特に一列目は雪まみれでした(笑)
最初からハンカチが手放せない、豪華でぎゅっと濃い3時間でした。

投稿者 sato : September 1, 2006 11:46 PM
コメント

明治座公演らしい豪華な舞台でした〜
「忠臣蔵事件」の裏にいた、夫婦・恋人・姉弟であった女性達が
悲しく描かれてました。
討ち入りを決めた男を涙を呑んで送り出す女・引き止める女
それぞれがそれぞれに切なくて。
もうハンカチがずーっと手放せません!
雪・水・墨・鼓。。。びっくりさせられっぱなしだし。

ただキャストが豪華なだけ。。。雄基さんの出番は少なめ。。かも
これまで一番短かったのは。。南太平洋?花の情? 
これに並んでるかもです
それぞれに物語があるので、皆さん少ないのですが。
江原さんとか「え?これだけ?」という感じ。
勿体無い気もします(-_-;)


でも魅せてくれます♪鼓を打つシーン。
一層激しくなる雪に囲まれての暗転。とっても幻想的でした。
2年近く稽古された甲斐がありましたね。

にしても名古屋公演はどうなるの〜?
磯貝十郎左衛門は他の方が演じられるのでしょうか?
それとも他の義士の話になるとか?気になる(笑)

Posted by: sato : September 4, 2006 12:08 AM

久しぶりに良いお芝居を拝見いたしました。
satoさんのアドバイス通り、ハンカチは必要ですね。
雄基さん・・・何人も中堅の俳優さんいらっしゃいましたが・・・お上手ですね?
本物の涙に本物の鼓が観客席を鼻すすり音に変えてしまわれて(笑)
確かに数回観てもOKです。。。この作品は。
確かに出番は少なかったですがインパクトありましたね。熊谷さんもすごかったけど。
相思相愛で結ばれないとは悲しいお話でした。
雪に囲まれていましたが私には桜吹雪が二人を祝い包み込んでるという妄想で。
美しい雄基さんでしたぁ〜♪

Posted by: Tomasumi : September 17, 2006 12:16 AM

女性は熊谷さんが凄かったですね
岡場所から逃げるシーンでそこに紐結ぶ?
って箇所が気になりました(←どうでも良いw)

鼓もさらに上手になってました
あのシーンは本当に迫力!
暗転するまでに3度も拍手が起こってましたー

Posted by: sato : September 19, 2006 5:49 AM

26日に明治座にいってきました!出演者豪華でみごたいありました。京マチコさんきれいでびっくり!80歳を過ぎているとは思えない身のこなし!雄基さんの鼓の掛け合いのシーンは素敵で、劇で一番の見せ場だったように思います!昔からファンでしたがわかわかしさは変らず演技も深みをまし、出演している若手のなかではぴかいちでした。年配の御婦人も雄基さんのポスターを指して誉めてました

Posted by: みっとちゃん : September 26, 2006 10:29 PM

感想ありがとうございますO(≧▽≦)O

京マチ子さんは綺麗で品がありましたよね〜
ほんと80過ぎとは思えません
京さんが演じられてた瑤泉院の
お母さん役を演じられてた方のほうが年下ですよね・・・

> 出演している若手のなかではぴかいちでした
にひ。私もそう思いました♪
誉めてくださってるところに通りかかると嬉しいですよねー

無事に千秋楽を迎えられました。おつかれさまでしたですね

Posted by: sato : September 27, 2006 10:36 PM

25日に二回目の観劇をしました。鼓の場面は何度観ても圧巻ですね。暗転になっても拍手が鳴り止みませんでした。帰りに雄基さんの鼓を褒めている方々がいて私までうれしくなってとてもいい気分で帰りました。若手の俳優さんが多く出ていらっしゃいましたが雄基さんの鼓と演技が一番だと思いました。来年一月の中日劇場も今から楽しみにしています。

Posted by: さゆりん : September 29, 2006 1:13 AM

感想ありがとうございます♪

鼓、好評ですね〜
宮川さんもご自身の日記で表彰状まで(笑)
毎日のサイトでも好評だったようです
やはり鼓のシーンは盛り上がった場でしたね
http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/geinou/archive/news/2006/09/21/20060921dde018200036000c.html

Posted by: sato : October 1, 2006 9:13 PM
コメントする